15世紀イタリアでのタロットの誕生時には、このカードは遊戯用のカードにすぎませんでした。しかし、18世紀後半、タロット=古代エジプト起源説という、今から見れば誤った説が提唱されたことが引き金になり、タロットは魔術的な占いの道具になっていきました。さらに20世紀半ば以降、タロットは自己発見のための心理学的、セラピー的ツールとして注目されるようになり、さらに社会的なメッセージをはらむアートにもなりました。ニキ・ド・サンファルなど現代アーティストが本気で取り組む主題となっているのはその証左です。このトークでは、個人と社会を癒すタロットという視点でお話ししたいと思います。
講演者プロフィール
鏡リュウジ
心理占星術研究家・翻訳家。1968年京都生まれ。国際基督教大学卒業、同大学院修士課程修了(比較文化)、英国占星術協会会員。日本トランスパーソナル学会理事。京都文教大学。平安女学院大学院客員教授。心理学的側面から占星術にアプローチした心理占星学を日本に紹介し、従来の占いのイメージを一新する。古代から続くさまざまな占いや魔術、パワーストーンなどの歴史や文化にも造詣が深い。雑誌、テレビ、ラジオなど幅広いメディアで活躍。著書に『占星術の教科書』(原書房)、訳書に『ユングと占星術』(青土社)など多数。