テーマ
秋に飾りたい、贈りたいクラフト
タイトル
空・花・木々の色彩、香りで感じる日本の秋の旅
作者
花陽楽
材料
[額縁木部彩色（秋の空）・ソラフラワー（菊）の彩色]アクリル絵の具とアロマオイル
赤（ゼラニウム）黄色（レモン）オレンジ（橙）茶色（フランキンセンス ）青（ペパーミント）緑（ローズマリー）黄緑（クラリセージ）金色（金木犀）
[ベース部]ソイワックス、アロマオリジナルブレンドオイル（シダーウッド、トンカビーンズ、シナモンリーフ、キャロットシード、キンモクセイ、ニオイコブシ、ベルガモット、スイートマジョラム）マイカ（ワックスの彩色）
[花材]プリザーブドフラワー（輪菊パルフェ、ポンポン菊、アネモネフラワー）ドライフラワー（鶏頭、アキレア、南天、蓮の実、野薔薇の実、ヘクソカズラ、ススキ、稲など）
作り方
① 額縁の木部４面に秋の空をイメージしてオリジナルアロマ絵具を塗る。
（朝焼けや夕焼けの薄明の空のわずかな時間に魔法のような色が紡ぎ出されるマジックアワーと呼ばれる奇跡の瞬間を額装の木部に描きました）
② ソラフラワー菊の花びらにグラデーションをつけてアロマ絵具で色をつける
③ ドライフラワー 、プリザーブドフラワーにワイヤリングする
④ 全体の配置を考える。
⑤ ベースとなるソイワックスを湯煎にかけゆっくりと溶かす
⑥ 香りをデザインする。ベース、ミドル、トップをバランスよくアロマオイルをブレンドする。
（秋の通学路、どこからかふわりと漂う金木犀の香り。紅葉した森を散策すると歩く度に葉や枝がカサカサと音を鳴らしながらたちこめる香り、木々が徐々に色付く様子をスイートマジョラム、こっくりとした暖色をキャロットシード、爽やかさのアクセントにニオイコブシも加え奥行きのあるアロマブレンドオイルを調香しました。）
⑦ 完全に溶けたソイワックスに⑥のアロマオイルを混ぜる。
一部取り分けてマイカで彩色。
⑧ 額にゆっくりと流し入れる、彩色したワックスもポイントに入れ混ぜ合わせる。
⑨ 少し硬化してきたら、高低差や遠近感を考えて花材を配置していく。
（花材については、伊藤若冲の動植綵絵をイメージソースに。）
使い方
玄関やリビングなど。絵画のように壁にかけても、テーブルに置いても良い。秋を感じるオブシェとして住空間を色と香りで演出します。「居住空間にいながらにして自由に旅する」をテーマにしたインテリアアイテムです。
ソイワックスの香り付けは天然精油を使用しているので香りの持続は１年ほどです。アロマの香りが薄らいできたら、ソラフラワーにアロマブレンドオイルを数滴垂らすとまた香りを楽しめます。
直射日光、高温多湿は避けてください。
作品のアピールポイント
遠方の高齢者施設に暮らす大祖母へ、敬老の気持ちを込めて。
大好きだった庭いじりやお散歩も頻繁にできなくなったけれど、多趣味で絵を嗜む好奇心旺盛な大叔母に「秋の空気を紡ぎ出す豊かな色彩と香り」を贈りたいと思いました。
外出が出来なくても日本の四季を感じてもらいたいです。
以前大叔母に贈ったアロマクラフトは食堂に飾ってくれて、優しい花々とフローラル系アロマブレンドの作品を前に「花園に来たようだ」と皆さんで楽しんでいただけたとのこと。
今回の作品で視覚、嗅覚から記憶を呼び起こし、時間も空間も飛び越えて「秋の旅」を感じていただけたら嬉しいです。
このクラフトを作ったことにより、どのような発見・学びがありましたか？
近年、認知症の予防として、芳香療法は不穏、興奮状態の改善や睡眠の改善などの報告があり、高齢者施設でもアロマテラピーが注目されています。匂いを感じるメカニズムとして嗅覚神経が香りの情報を記憶や感情に深い関わりを持つ大脳辺縁系に伝える。そして自律神経系や内分泌系を調整して視床下部へ情報が送られアロマの効果がもたらされる。
ここに嗅覚を使った感覚的旅行へ誘い、心身を癒すこの作品の意図があります。かつて体感した記憶をつたい体験することができるのです。
色の弁別能力が低下する高齢者は特に青色の弁別が劣ると言われています。色覚から温かさ、快活さ、活力を感じてもらえたらと暖色系の色彩を選びました。
今回、一つの作品のなかにアロマ絵具、ソラフラワー、アロマワックス、３種類の分野のアロマクラフトを制作し、アロマセラピーと色彩心理、双方の要素をデザインに取り込むことができ、実践した学びとなりました。
アロマクラフトに触れて心躍る時を過ごしてもらいたい、その想いを形にして贈る。大切な気持ちをつなぐ贈り物をつくることが自身の創作の原点、と再発見することができました。
